「1日が24時間」というのは当たり前のように思えますよね。でも実は、この24時間という長さ、厳密には地球が1回転する時間とイコールではないんです。地球の自転速度は変化していて、長期的に見ればじわじわと遅くなっているというのが定説になっています。
19世紀の約100年間で測定された地球の自転速度をもとに「1日=24時間」が決められました。ところが1990年頃には、地球が1回転するのに24時間より約2ミリ秒も余計にかかるようになったんです。
たった2ミリ秒と思うかもしれませんが、100年間で2ミリ秒のペースで遅くなると仮定すると、5万年で1秒、1億8千万年で1時間も長くなる計算になります。
潮汐摩擦が自転のブレーキになる

地球の自転が遅くなる最大の原因は「潮汐摩擦」と呼ばれる現象です。月の引力が海水を引っ張ることで潮の満ち引きが起こりますが、その際に海水と海底の間で摩擦が発生し、これが地球の自転にブレーキをかけているんですね。
同時に、月も地球から少しずつ遠ざかっています。現在の観測では、月は1年間に約3.8センチメートルずつ地球から離れていることが確認されています。地球の自転が遅くなり、月が遠ざかる…この2つは表裏一体の関係なんです。
短期的には逆に速くなることもある
ところが話はそう単純ではありません。長期的には遅くなっているはずの地球の自転ですが、短期的に見ると実は速くなったり遅くなったりを繰り返しているんです。たとえば1990年頃と2003年を比べると、2003年の方が自転速度が速くなっていました。
さらに最近では、2022年6月29日に観測史上最も短い1日が記録されたという報告もあります。
地球の自転速度が加速している理由は完全には解明されていませんが、地球内部の核の運動の変化、海水や氷河など地球規模での水の分布変化、大気の流れの変動など、複数の要因が絡み合っていると考えられています。
自転速度の変化を調整する「うるう秒」
地球の自転速度が一定でないことは、時間の計算に大きな影響を与えます。このズレが積み重なっていくと、実際の天体の動きと時計の時刻がどんどん合わなくなってしまうんですね。
そこで導入されたのが「うるう秒」という仕組みです。1972年以降、これまでに27回も1秒を追加して辻褄を合わせてきました。4年に1度のうるう年に1日を足すのと似たような考え方ですが、うるう秒の場合は不定期に実施されます。
| 調整方法 | 頻度 | 調整幅 |
|---|---|---|
| うるう年 | 4年に1度 | 1日(24時間) |
| うるう秒 | 不定期 | 1秒 |
興味深いのは、近年の地球の自転加速傾向により、今後は逆に1秒を引く「負のうるう秒」が必要になる可能性も指摘されていることです。実際、2016年以降はうるう秒が一度も挿入されていません。
自転速度の変化に影響する主な要因
- 潮汐摩擦:月の引力による潮の満ち引きで海水と海底の間に生じる摩擦。長期的に自転を減速させる最大の要因
- 地球内部の核の運動:液体状の外核の流れが予測不能な形で変化することで、自転速度に影響を与える
- 水の分布変化:海水、陸水、氷河など地球規模での水の移動。氷河の融解により1日あたり約1ミリ秒遅くなるという試算もある
- 大気の変動:偏西風が強く吹くと自転速度が遅くなるなど、大気の動きも影響する
- 地震:マグニチュード9クラスの巨大地震では、わずかながら自転速度が変化する(東日本大震災では1.8マイクロ秒短縮)
これらの要因が複雑に絡み合うため、自転速度の変化を正確に予測するのは非常に難しいんですね。
遥か昔の地球はもっと速く回っていた

現在の地球では1日が約24時間ですが、遠い過去にはもっと速く回転していました。約7000万年前には1日が約23時間半だったという研究結果があります。さらに月が形成されて間もない約45億年前には、地球の1日はなんと4〜6時間程度だったと推定されているんです。
当時は月が現在よりもずっと地球に近かったため、潮汐摩擦の影響も現在とは大きく異なっていました。興味深いことに、約18億年前から8億年前までの10億年間は、地球の自転周期がほぼ19時間で固定されていた可能性も指摘されています。
この時期は地殻変動や気候変化が乏しく、生物の進化も極めて遅かった「退屈な10億年」と呼ばれる時代に相当します。
もしも月がなかったら?
潮汐摩擦という自転のブレーキがなくなるため、地球は超高速で回転し続けることになります。1日の長さはずっと短いままで、現在のような24時間という安定した周期にはならなかったでしょう。
潮の満ち引きによって海の物質がかき混ぜられることで生命が誕生したという説もあり、月の存在は地球の環境にとって極めて重要だったと言えます。
地球の自転速度は、確かに長期的には遅くなっています。でも短期的には速くなることもあり、その変化は私たちが思っている以上に複雑なんです。宇宙規模で見れば、「1日=24時間」という常識すら、実は流動的なものなんですね。
